Googleに学ぶ「儲かる仕組み」の作り方

2022年7月22日

早速ですが世界で一番儲かっている企業はどこでしょう。

2021年3月13日時点での時価総額ランキングTOP10は以下の通りです。

順位名称時価総額(千ドル)
1アップル2,031,863,259
2マイクロソフト1,778,077,367
3アマゾン・ドット・コム1,555,758,238千
4アルファベット675,395,241千
5テスラ665,879,171千
6フェイスブック645,622,353千
7アリババ・グループ・ホールディング628,947,375千
8アルファベット616,511,016千
9台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング613,512,791千
10JPモルガン・チェース・アンド・カンパニー476,492,730千
時価総額ランキングTOP10(2021年3月13日時点)

Alphabet Inc.(アルファベット)

アルファベットは米国の大手インターネット関連企業。検索サイト・グーグル「google.com」を運営するほか、検索エンジン、オンライン広告、クラウドコンピューティング、ソフトウエアなどIT関連製品とサービスを提供。携帯電話「アンドロイド」、ブラウザ「クローム」、インターネットテレビ「Google TV」等独自のOSを展開。本社はカリフォルニア州。

上位を占めるのはGAFAMです。

GAFAMはGoogle、Apple、Facebook、Amazon、Microsoftの5社を意味します。読み方はガーファム。
世界を代表するビッグ・ファイブです。
GAFAMのうちF(Facebook)を除く企業はどれも時価総額は1兆ドルを超えています。
唯一TOP50に入る日本企業であるトヨタ自動車は36位で2,100億ドルにすぎないことを考えるとその巨大さは凄まじいです。

デジタル広告収益のシェア率で見てみるとGoogleは31%、Facebookは21.4%とこの2社だけで世界の半分の広告収益を占めていることになります。

一方で、日本のトータルデジタルリーチ(インターネットサービス利用者・利用時間ランキング)を見ると、

ランクサービス名平均月間リーチ
1Google56%
2Yahoo Japan54%
3YouTube50%
4LINE48%
5Rakuten41%
2019年 日本におけるトータルデジタルリーチTOP5

となっており、GAFAMの中にもヤフー(Yahoo)やLINE、楽天と日本企業が健闘しています。

今回はこれらの会社がどうやって儲かる会社になったのか、どんな戦略で勝負を挑み続けているのかを深堀りしていきたいと思います。

ヤフーとグーグルの戦いの歴史を紐解く

アメリカでヤフーが誕生したのは1995年3月。日本のヤフーは1996年1月に設立されました。
グーグルの創業は1998年9月。

ヤフーはハイパーリンクを集めた「お役立ちリンク集」を作ることを強みにしていました。
ユーザがページに訪れれば、そこからハイパーリンクをたどってネット上に広がる様々な文献にアクセスできる「ポータルサイト」を構築します。
インターネットには数多くのコンテンツが存在するため、それらをうまくカテゴリに分類してユーザの見やすい形で各サイトに案内してあげるという仕組みはすぐに万人を受け「インターネットといえばヤフー」と思われるような地位を獲得します。

ハイパーリンク

リンクのこと。参照先にURLをコピペして貼り付けてページを開かなくとも、クリックすることで参照先にアクセスすることができる。複数の文書を結びつける役割を担う。

ですが、ヤフーはリンクをたどるネットサーフィンを得意とする人たちを大量に雇い、人力で有力なサイトを集めていました。
それに反しネット上の情報は日に日に膨大に増えます。
もはや人海戦術ではどうにも処理しきれなくなったのです。

そこで検索の巨人であるグーグルの時代の幕開けです。
グーグルはインターネット上に存在するサイトのすべてを自動で収集する技術を開発します。
ヤフーは人の手で集めたリンク集のページに対し、
グーグルは検索単位でページを表示することを可能にしたわけです。

人海戦術がシステムに代用されるのはネットの世界ではよくある話ですね。

検索エンジンを後押しした技術

今でこそスマホでは動画を閲覧できたりとインターネットの速度は爆速に早くなっていますが、インターネットの黎明期はとてつもなく速度は遅いのが当然でした。
当初はダイヤルアップ接続といって電話網を使って電話交換機経由で接続をおこなうのが主流でした。とてつもなく遅いため画像一枚の読み込みも上から順次表示され数十秒掛ってしまうことも珍しくありませんでした。
2000年代前半ADSL(AsymmetricDigitalSubscriberLine:非対称デジタル加入者線)が登場し通信速度は20倍以上になりました。
その後光ファイバーが出てきて速度は1000倍以上となり画像や動画も快適に閲覧することが可能となったのです。

インターネット上に存在する膨大な数のサイトを自動巡回し収集する、というグーグルの野望には欠かせない技術の発展です。

そしてインターネット検索は置き換わる

人は一度でも便利なものに触れてしまうと元に戻るのは難しいです。

不特定におすすめされる「お役立ちリンク」よりも、目的のページにダイレクトに飛べる検索エンジンに人々は魅了されていきます。
先のインターネット速度の革命に後押しされ、グーグルの検索スピードもコンマ何秒という速さで実現され、人々は欲しい情報に一瞬でたどりつくことができるようになりました。
わからないことがあればグーグルで検索する。
今では一般的になった言葉「ググる」の由来です。

グーグルとヤフーの広告ビジネス

検索エンジンのグーグルもポータルサイトのヤフーも、どちらも広告を主体としたビジネスです。
ですがこの広告ビジネスに関してもグーグルに軍配が上がります。

ヤフーの場合
ポータルサイトのトップページに表示される広告はユーザが注目しやすい箇所に配置されます。
これはあくまでユーザーが関心のある広告とは限りません。不特定多数に自宅にポスティングされるチラシのようなものです。

グーグルの場合
検索結果に検索ワードに関連のある広告を表示します。
そのため、ユーザーの関心度の高い広告が表示されやすいことになります。

グーグルは広告を漠然と見せるのではなくユーザの意思に連動させる、というところがユーザフレンドリな設計といえ、価値のあるアプローチができているといえます。

それでもヤフーが使われ続ける理由

ここまで見てみると完全にグーグルの一人勝ちとも思えますが、今現在でもヤフーはトップの集客力を誇るポータルサイトとして地位を築いています。

日本国内では2011年からヤフー・ジャパンはグーグルの検索技術を利用するようになりました。
検索エンジンとしては勝負はついているはずです。

その理由は、
ヤフーはネットの入り口を探索型
グーグルはネットの入り口を目的型

に区別するとわかりやすくなります。

グーグルの場合は「ググれカス」という言葉があるように、調べるもの(目的)はネットの入り口の時点で決まっています。

  • 明確な調べものがある
  • わからない言葉や関連するキーワードを調べる
  • 美味しいランチを探す

一方ヤフーの場合は総合デパート(探索)のような地位を築いています。

  • ニュースを見るなら「Yahoo!ニュース」
  • 経路検索なら「Yahoo!乗換案内」
  • 悩みがあったら「Yahoo!知恵袋」

といった具合に、Yahooというブランドを皮切りに総合力で対抗しているといえます。

Youtubeが当初出てきた時は「何かおもしろい動画はないかな?」という探索型の傾向が強かったのが、
今では「魚の三枚おろしのやり方」という感じで目的型としての頭角を表しています。

ネットショップでいうと目的型はAmazon、非目的型でいえば楽天です。

このように、ネットビジネスを目的型と非目的型に細分化してみて考えることで新たな考察が生まれてきそうです。

まとめ

本記事のまとめです。

検索にも目的型と非目的(探索)型があるという気付きは、これからネットビジネスを着想していく際にも良いヒントになりそうです。

また、今回の教訓は以下になります。

生き残るために進化し続ける

出遅れても構わない。自分の長所をより磨きをかけることで挑戦し続けることが大事。
(ヤフーの姿勢)

時代に合ったサービスをローンチする

時代を先走り過ぎてもインフラやユーザーが付いてこれなければ意味がない。
適切なタイミングを逃さないようプロダクトの完成度を上げておく。
(グーグルの姿勢)

このような感じで今後もネットビジネスを深堀りしていきたいと思います。

それでは、また。